当医院には、診療室の奥に大きな窓のある部屋があります。 先代からの当院の特徴のひとつでもある技工室です。 歯科技工士が常勤しております。
技工室では、患者様のお口の中に入れるつめものや、被せもの、入れ歯などを作っています。 直接患者様のお顔をすぐに見ることができるので、より患者様にあったものを作ることができます。
今回は、歯科技工士の戸塚より、お口の中に入れるつめものや被せ物の材料についてご紹介します。
人工ダイアモンドとしてアクセサリーに使われるジルコニアですが、実は、白いセラミックス(*)でできています。 数あるセラミックスの中でも特に靭性(物質の粘り強さ)が高く、強くて丈夫な素材です。 その丈夫さから、スペースシャトルの断熱材にも使われるほど。さらに金属に比べてアレルギーも起こしにくいので、骨の代替素材として人工関節やインプラントの人工歯根に使われるなど、医療の現場で活躍しています。
*セラミックス:金属酸化物を熱によって焼き固めた焼結体のこと。陶磁器、ガラス、セメント、石膏などが当てはまります。
ジルコニアは、オーストラリアや南アフリカ、ウクライナなどで多く採れるジルコニウム資源鉱物を製造加工して作られます。粉末にしたジルコニアを各専門業者・メーカーが加工し、以下のような製品になるわけです。
宝飾・ジュエリー ……模造ダイアモンドとしてアクセサリーに。 工業 ……触媒・耐火材・光ケーブルの光フェルールに。
特に注目度が高まっているのが、歯科素材としての応用です。 「白くてきれい」「強くて丈夫」「人体に優しい(生体親和性に優れている)」という特徴から、補てつ物としてクラウン(被せもの)に最適なのです。これまで銀歯としておなじみだった金属素材に代わり、広く使われるようになっています。
強度
強さとしなやかさを併せ持ったジルコニアは、そう簡単にお口の中で欠けたり折れたりしません。強度が高いため、補強のために金属を使う必要がなく、金属アレルギーの方でも安心です。
軽さ
ジルコニアは、金合金と比較すると重さわずか3分の1。 軽いので違和感がありません。ストレスなく思い切り噛みしめることができます。
色彩
まるで天然歯そのものの透明感、そして色調の再現力を備えています。大きな口を開けて笑っても、義歯であることが分かりません。
生体親和性
人体とよくなじむ成分で金属アレルギーの心配もないのがジルコニア。 お口の中に入れるものだから、何よりも安全性が重要です。