2016.03.09

 私たちはコミュニケーションの一つとして会話を用います。でも話の内容に関係なく、お口の臭いで相手を不快にしていたとしたら…
 今回はそんな気になるお口の臭いについて、その原因や予防法についてお話しします。

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 私たちは色々な感覚を持っていますが、嗅覚(しゅうかく)は特殊な感覚です。同じ臭いを続けて嗅いでいると徐々にその臭いに慣れてしまいます。そのため、お口の臭いが非常に強い人であっても、本人が自分の口臭に気づかないこともあります。
 ニンニクやニラなど臭いのある食品を食べたり、お酒を飲んだ後の息は、少し臭いがします。また、愛煙家は息だけでなく体からタールやニコチンの特有な臭いが感じられます。これら食品や趣向品は一時的にお口の臭いを強くしますが、いわゆる「口臭」ではありません。

臭いの元はどこから出ているのでしょうか?

口臭の原因はズバリ!お口にいる細菌がつくりだす揮発性の硫黄化合物というガスです。 歯・歯ぐき(歯肉)・舌などにいる沢山の細菌が、食後にお口の中に残った食べカスなどに含まれているタンパク質を分解し、硫化水素・メチルメルカプタン・ジメチルサルファイドといった揮発性硫化物を生成します。その臭いは「何かが腐った臭い」いわゆる腐敗臭と呼ばれる強い臭いで、誰にでも不快感を与えてしまうのです。

これら細菌はお口のどの様な所に多いのでしょうか。

口臭の90%以上はお口の原因によるものといわれています

最も多いのは歯槽膿漏(しそうのうろう)と呼ばれている「歯周病」に侵された歯と歯ぐき(歯肉)です。

重症のむし歯、多数のむし歯の歯の中にも多くの細菌が認められます。

舌の上に白い苔(コケ)のようなものがついていませんか?これは「舌苔(ゼッタイ)」いわれ、少量であれば問題ないのですが、多量に堆積すると舌苔の中にいる細菌も増加します。

入れ歯も食後の清掃を怠ると細菌の巣となり、その様な入れ歯を装着すれば口臭の原因となります。

蓄膿症・扁桃腺炎・咽頭炎・肺膿瘍・肺壊疽など、ノドや肺の病気が原因となることも稀にあります。

口臭を予防するためにはどのようにすれば良いのでしょうか。

毎日の歯ブラシが大事です。

歯と歯ぐき(歯肉)の境目や歯と歯の間を、歯ブラシ歯間清掃用具(デンタルフロス・糸ようじ・歯間ブラシなど)を使い、正しい歯みがきでお口を清潔にします。

舌の清掃も行います。

舌は柔らかい粘膜なので傷つけないように優しくみがき「舌苔(ゼッタイ)」を除去します。 舌ブラシや舌苔をとる道具は市販もされています。

歯周病やむし歯などの病気は、出来るだけ早く治療をされることをお勧めします。

口臭の原因の最も多いものは、歯周病に侵された歯ぐきです。

歯周病があるかどうか、セルフチェックしてみましょう

歯ぐき(歯肉)から血や膿(ウミ)が出る。
歯の根元に歯みがきでは落ちない白もしくは黒い塊が
こびりついている。
歯がグラグラする。
冷たい水を飲むと歯や歯ぐきがしみる
歯が前よりも長くなったようにみえる
口臭が気になる

これらの症状が一つでも当てはまるのだとしたら要注意です。



もし身近な人に口臭を指摘されたり、ご自分で口臭の気になる方は、一度歯科医院にご相談されてみてはいかがでしょうか。

<参考文献>
息さわやかに Q&A
 発行:医学情報社 平成24年11月21日 第1版第1刷
 編集者:川口陽子 著者:上野正之 古川清香

サヨナラ お口の臭い
 発行:医歯薬出版株式会社 2004年7月10日 第1版第4刷 著者:角田正健